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地元保全チームの若者達
JAGAが支援する「プロジェクト・フロレアナ」は、ガラパゴス諸島のフロレアナ島という島を丸ごと保全しようという長期的かつ壮大な保全プロジェクトです。
フロレアナ島では今、人間の入植に伴う外来種等の影響で、本来の生態系が失われようとしています。このプロジェクトでは、人間が入植する前の、この島独自の生態系を回復させ、ダーウィンが約170年前にこの島を訪れたときに見たゾウガメやマネシツグミなどのこの島固有の生物を再導入し、生態系を安定して維持することを目的としています。
このプロジェクトの大きな特徴は、地域社会の理解を得ること、そして島民を保全に巻き込み、島民にとっての利益や要求を保全と融合させようとしている点です。これにより、持続可能な島の発展・維持、つまり自然と人がお互い利益を得ながら共生する社会の構築を見込んでいます。
さらには、この小さく人口の少ない島を保全することで、面積が広く人口の多い島の保全へのモデルケースとすることも想定されています。
基礎情報〜フロレアナ島について
- 諸島の南に位置し、諸島の中では小さい島(しかし日本の宮古島より一回り大きい)
- 人口は107人(2006年)
- 諸島の中で最も早くから人間の入植が進み、これによってもたらされた家畜や農作物などの外来種が、固有の生態系に大きな影響を与えている。
- 外来種の影響により、既にこの島固有のゾウガメを始め、数種の生物が絶滅した
- 島民は、基本的には農業や漁業、観光業などで細々と生活している

ガラパゴス諸島全体地図:フロレアナ島は中央南の島
基礎情報〜ガラパゴス諸島が置かれている状況と、フロレアナ島保全の背景
外来の雑草を駆除する地元保全チーム
これまでの諸島の保全活動は、ゾウガメやイグアナなどのある特定の生物種や生態系を保全する、自然のみに目を向けた活動でした。
しかし近年、諸島を訪れる観光客の増加に伴い、観光産業を当て込んだ移民が急増。このため大陸〜諸島間の物資や人の往来が増え、これに伴う外来種の侵入が進んだ結果、固有の生態系が壊されようとしています。外来種の侵入・固有生態系の破壊は、人が住む4つの島で顕著となっています。
※これによって2007年には、ユネスコから、危機にさらされている世界遺産、すなわち「危機遺産」リストに名前が載せられました。
つまり、これまで特定の生物を保護することに主眼を置いていた保全が、人間そして地域社会の存在抜きには進まない状況になりました。
在来種庭園のための種苗場を建設中
本土からの移民はすでに10年前に原則禁止されていますが、自然増により人口は増加。観光については厳しいルールで管理されているものの、観光客数の抑制策は行われていません。
観光は、発展途上国であるエクアドルの要となる産業であり、また島民にとっては貴重な収入源でもあるため、安易に規制が行えない側面もあり、外来種の侵入は進むばかりというのが現状です。
また過去に、保全のために漁業を規制したために、島民と保全機関との間で紛争が勃発し、大きな社会問題になったことがあり、地域社会と保全との関わり合いは、重要な課題でもありました。
これらのことを教訓・背景に計画されたプロジェクトが、このプロジェクト・フロレアナです。稀少な自然の中で、それを壊すことなく人間が存在する、という「自然と人の共生」への挑戦は、ガラパゴスだけでなく、現在世界が抱える重要課題の一つであり、このプロジェクトの成果は、これらへの活動に資するものとなるでしょう。
プロジェクトの内容
フロレアナマネシツグミ
- 1.島民へのアプローチ
- 島民の状況や要望を理解し、それに則したプロジェクトの進行を計画する。保全のための教育や雇用の可能性を探る。
- 2.基礎情報の収集と、保全優先順位の確立
- 外来種の侵入状況や絶滅危惧種の分布状況を正確に把握し、このデータに基づいた保全上の優先順位をつけることで、効率的かつ実効性ある保全を行う。
- 3.外来種の侵入・拡散防止
- まずは島民や観光客の外来種対策への理解を深める。現在この島では行われていない検疫システムを確立する。島民の住居にある既に侵入している外来植物は除き、在来種に植え替えるよう指導する(これにより島民への環境教育も行う)。農業などにおける病原菌の拡散防止を指導する。
- 4.外来種の駆除
- 生態系や固有生物に深刻な影響を与えているラットや野生化したネコを、コントロール(駆除・管理)する。
- 5.かつて生息していた生物の再導入
- フロレアナマネシツグミは、この島固有の鳥類だが、この島にはもう生息しておらず、周辺の二つの小島に追いやられるように生息している。また固有のゾウガメは絶滅しているが、生態系の頂点に位置するゾウガメの存在は必須であり、他の島からゾウガメを導入することを計画。しかし再導入には、外来種により変貌した本来の生態系を回復させることが前提である。
- 6.禁漁区の設置
- 過去の過剰漁業により生態系のバランスが壊れた海域について試験的に禁漁区を設け、その有効性についてモニタリング調査を行う。漁民の意識・社会調査も行う。
※プロジェクトの詳細資料をご希望の方は、JAGA事務局までご連絡ください。
大まかなスケジュール
| 主な活動 | 全体 | 人 | マネシツグミ | ゾウガメ | 脊椎動物(外来種)コントロール | 防疫改善 | 生物多様性のための優先エリア | 禁漁区 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2009年 | 資金集め | 社会研究、職務訓練 | 放鳥前作業(放鳥試行の可能性を含む) | ラットのコントロール | 庭園管理、教育キャンペーン | 2ゾーンの3ヶ月の観察 | ||
| 2010年 | 資金集め | 職務訓練 | 再導入 | ネコの駆除、ラットのコントロール | 農業支援、教育キャンペーン | 調査、地図作成 | 2ゾーンの3ヶ月の観察 | |
| 2011年 | 資金集め | 社会研究、職務訓練 | 30羽の放鳥と観察 | 再導入 | ネコの駆除、ラットのコントロール | 農業支援、教育キャンペーン | 優先エリアの管理 | 2ゾーンの3ヶ月の観察 |
| 2012年 | 資金集め | 職務訓練 | 30羽の放鳥と観察 | 再導入 | ラットのコントロール | 農業支援、教育キャンペーン | 2ゾーンの3ヶ月の観察 | |
| 2013年 | 社会研究 | 30羽の放鳥と観察 | 再導入 | ラットのコントロール | 農業支援、教育キャンペーン | 2ゾーンの3ヶ月の観察 |
プロジェクトの実行体制
ガラパゴス諸島で保全活動を始めて50年の実績をもつ「チャールズ・ダーウィン財団」が運営するチャールズ・ダーウィン研究所と、エクアドル政府管轄のガラパゴス国立公園管理局が協働で行います。
支援体制
実行団体の一つであるチャールズ・ダーウィン財団は、その運営資金のほとんどを世界中からの善意の寄附によりまかなっています。このプロジェクトには、今後5年間で日本円でおよそ1億7千万円の予算が組まれており、世界中から同財団への支援によって行われる予定です。日本からは、同財団の日本窓口となっているJAGAの他に、日本経団連自然保護基金からの助成により支援が始まっているが、規模の大きさから、十分な資金が集まっていません。JAGAに集められた寄附については、同財団の銀行口座に直接振込を行っています。日本の個人、企業の皆さんの支援を、お待ちしています。
各担当者
- 現地助成金担当者
- ダーウィン財団助成金担当Freda Chapmanさん
- プロジェクト責任者
- ダーウィン研究所科学部Rachel Atkinsonさん
- JAGA担当者兼現地連絡担当
- 奥野玉紀・西原弘




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