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文書・画像等を引用、転載される場合には、
必ず引用元として「日本ガラパゴスの会(JAGA)」を明記してください。

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2.ガラパゴスは絶えず変化している


 ガラパゴスは、15年以上前から始まっている加速的な変化期にある(図1)。経済的観点から、観光産業はここ15年間で年間14%の経済成長を遂げた(Epler, 2007年)(注1)。この並外れた成長率は同時期の観光船の数が67隻から80隻へとわずかな増加しか示していないにもかかわらず起きている(Epler, 2007年)。1998年以前に、ガラパゴス国立公園管理局は小型船舶の収容人数を16人まで増加させることを許可した。この変化により、ここ15年間で船舶の収容人数が1,048人から1,805人に増加したことを部分的には説明できる(Epler, 2007年)。今日、船舶は以前より多日数(平均して一年につき60日以上多く)稼動している。旅行業者は今や年平均222日間稼働している(Epler, 2007年)。同時に、旅行者のガラパゴス平均滞在日数は減少しているが、ガラパゴスで過ごす時間の大幅な短縮は1991年以前に起きたものであった。これらの変化によって、観光産業が加速的に成長することになった。おそらく、観光産業の影響を調べる最善の指標は、船舶の船客数と滞在日数の関係を評価することである。 この指標[船客数×滞在日数]は、1991年から2006年にかけて145,408人日から363,226人日へと150%の増加を示している(Epler, 2007年)。

 ホテル滞在型の観光は船舶滞在型の観光と同程度の成長をしている。ここ15年で、ホテル数は33軒から65軒へと倍増しており、ホテルのベッド数[収容人数]は、880床から1,668床へと増加している(Epler, 2007年)。同期間に、レストランとバーは31軒から114軒へ増加している(Epler, 2007年)。ホテルを利用する観光市場は、島に拠点をおく日帰り旅行を除いては、大部分の(海や陸地の)ビジターサイトへの交通手段を提供できないために、限られたものとなっている。

 今やホテルは船舶と同等数のベッド数[収容人数]を有しているが、ホテルは船舶のわずか10%の収入しか得られない(Epler, 2007年)。この現象は、大多数のホテルが[ガラパゴス観光]市場の中で、低予算旅行者を含む購買力の低い層に対してサービスを提供していることや、ホテルを利用する旅行者数が船舶を利用する旅行者数に比べ大幅に少ないことから生じている。同様に、ホテル滞在型の観光産業の成長は、陸地を拠点とした日帰り観光の成長と結びついている。ホテルのオーナーは自ら日帰り観光を提供するか、日帰り観光を提供する旅行業者と提携する必要性があることを認識している。

 ガラパゴス国立公園管理局は、自身が、新たな観光営業許可を発行すべきとの圧力下にあることに気づいている。この圧力の背景にある原動力は、これらの新たな営業許可が地元住民に利益の増加をもたらすために必要だという前提[に立つ考え方]である。ホテル、漁業、地元経営のダイビング業者、外部の投資家、及び規模の経済を増大させようとしている既存の民間観光業を含むいくつかのグループは、これらの新しい営業許可に興味を示している。

 注1)観光産業は加速度的に成長しており、その成長率は、既存のガイドによる管理、トレイル、旅程、及び観光営業許可件数の制約の存在を通じ、民間企業の市場への参入能力によってのみ制限されていることが明らかである(MacFarland, 2001年、に記載)。



図1: ガラパゴスにおける人口及びガラパゴス訪問者数の増加

 これまで、観光産業の成長についての議論は、新たな観光営業許可[発行の可否]を決めるための基礎としての、個々のビジターサイトの"収容能力"の調査研究の利用に焦点を絞ってきた。収容能力の調査研究は、特定のサイトにおける訪問者の影響を調べるものであるが、より広範なシステム[(諸島の生態系全体)]における訪問者総数の影響を決定するための強力な技術的根拠を提供するものではない。ガラパゴスにおける観光産業の最も深刻な影響は直接的に起こるものではなく、むしろ町や諸島へのアクセスの増加を通した間接的なものであるとしても、新たな許可に関連した意思決定は、観光産業の地域への影響のより包括的な分析に基づいてなされるべきである。

 ガラパゴスにおける営業許可件数の増加は、短期的には住民に流れる資金量を増やすだろうが、必ずしも長期的な持続可能性には貢献しない。新たな営業許可による観光産業の成長は、我々が既に持続不可能と認識しているより急速な成長サイクルを導くだろう。本来の所有者から経済力のある所有者への営業許可の委譲が増加し、ガラパゴスにおける不公正性を悪化させることになってもおかしくない。

 成長の悪循環を図2に示す。移民により人口増加が継続する。この人口増加は、職と資源利用に対する需要と圧力の増加につながる。これらは観光産業と漁業の拡大を導き、最終的には生活水準を高める。そして次々に移民労働力の必要性が増大し、さらに人口を増加させる。



図2: ガラパゴスにおける成長サイクル

 諸島の生物多様性に対するこの成長サイクルの影響は詳細に記録されている(Bensted-Smith, 2001年)。現在、ガラパゴスには、500種の固有植物に対し748種の外来植物が存在する。諸島で2007年に記録された外来種は1,321種で、1900年の112種よりも10倍以上多い(図3)。



図3: ガラパゴスにおいて記録された外来種の総数

 絶滅危惧種に関するIUCNレッドリストによれば、今や、ガラパゴスの180種の固有植物の60%が脅威にさらされている。少なくとも490種の昆虫と53種の昆虫以外の無脊椎動物がガラパゴスに侵入し、これらのうち55種が固有の生物多様性に深刻な影響を引き起こす可能性がある。さらに、科学者たちは18種の外来脊椎動物の存在を確認し、そのうち、13種が侵略的であると考えている。新たな脊椎動物種が到来し続け、極めて侵略性の高い種がすぐにもガラパゴスに定着し、グアムにおけるミナミオオガシラヘビ(brown tree snake)による影響のような壊滅的な被害をもたらすかもしれない。イセエビ、ナマコ及びハタのような海洋資源は急激に減少している。2001年のジェシカ号石油流出事故もまたガラパゴスの急速な経済成長の結果である。

 過去においては、観光産業、経済成長、地元産業の発展、移民、及び公共サービスに対する需要と、侵略的生物種、過剰採取及び汚染の間にある結びつきは明白にされていなかった。しかし、これらの結びつきを重要視し、これらが循環的関係にあることを明示するいくつかの調査研究がある(Kerr, Cardenas ら 2004年、Taylor, Stewart ら 2006年、Cruz Martinez と Causton, 2007年、Proano, 2006年、Epler, 2007年)。


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