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5.地元の利益


 ガラパゴスでは観光産業が地元住民にもたらす利益のフローについて、もしくは、利益のフローをもたらさないことについて数多くの議論がなされてきた。この議論は、観光産業の新しいモデルの創出を迫る圧力[を考える上で]の基礎となる。この議論は部分的には、観光産業がどの程度まで経済の原動力となるかという点での諸島間の差(主にサンタ・クルス島、サン・クリストバル島、イサベラ島)をめぐって行われてきた。

 観光産業は急速に成長してきた。ガラパゴスにおける船舶による年間総収入は、1991年の19.6百万ドル(23.5億円)から2006年の145.5百万ドル(174.6億円)へと増加した(そのうち25百万ドル(30億円)が国際旅行業者の収入となっている)。同期間におけるホテルの年間総収入は1.1百万ドル(1.3億円)から10.7百万ドル(12.8億円)となっている(Epler, 2007年)。この経済成長はサンタ・クルス島で特に顕著である。ここでは、所有権、雇用、地元での手工芸品の購入、レストランやバーでの消費が地域コミュニティの主要な利益フローとなっている(Proano, 2006年)。正確な経済データを得るのは難しいが、地元住民への最も大きな利益フローは雇用によるものと考えてよいだろう。Taylor、Stewart及びHardner(2006年)は、観光産業がガラパゴス経済の主要な柱となっており、地元に多大な利益をもたらしていることを示している。今日、サンタ・クルスでは、観光産業が、プエルト・アヨラで増加中の建設業、商業、サービス業、スーパーマーケット及びクリーニング店といった中小企業の基盤である。 既存の観光産業の枠組み内で住民の雇用を増加させれば、観光産業から地元住民への利益フローを増やすことができる。ガラパゴスをカリブ海の島々と比較するならば、ガラパゴスは既に"地域参加を伴う観光産業"を示しているといえるのかもしれない。これらの利益はより効果的な地域計画と訓練によってさらに改善できるものである。しかしながら、利益は新たな移民の到来によって減少する(Taylor、Stewart 及び Hardner, 2006年)

 Kerr、Cardenas ら(2004年)は、商業的開発、人材及び移民の間の結びつきについては、より深い分析と考察が必要であると提言している。賃金、インフレ、雇用及び移民の間の関連性の理解を含むそうした分析が、プエルト・アヨラ(サンタ・クルス島)、プエルト・ヴィジャミル(イサベラ島)及びプエルト・バケリソ・モレノ(サン・クリストバル島)のような町の持続可能な開発のよりよい計画を立てるのに必要である。移民による主要な脅威は、町を基盤とした小企業が賃金の安さから非住民を雇うこと、または、自営業ではガラパゴス以外から親戚を雇えることから生じる。地元労働力が不十分なため、サービス業、建設業、農業及び漁業といった領域にまで島外からの新たな労働者が求められている。バー、レストラン、そして他のサービスもまた地元住民の代わりに移民を雇用しているようだ。

 いくつかの社会経済学的分析によると、移民労働者の方が地元労働者よりコストが掛からない傾向にあり、また、住民の収入期待額は小企業にとってはしばしば高すぎることが示されている(Henderson、Zurita ら 2005年)。この社会経済学的、文化的実態は、経済成長がほとんど必ず移民の増加に帰結することを示している。INGALAと地方自治体は、地元で得られる人材の実情に基づいて、ガラパゴス住民のための持続可能な商業的選択肢の設計に責任を持たなければならない。それまでは、経済成長は多くの場合、規制的管理とは無関係に移民の増加に直接的に影響を及ぼすだろう。


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