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6.ガラパゴス経済の収支
複数の分析者(Taylor, 2006年に要約されている)が、ガラパゴスの観光業の地域コミュニティへの貢献は、観光産業総収入の7〜10%であることを示している。この推測は地域コミュニティにおける消費額(ホテル、レストラン、工芸店)の分析に基づいている。Taylor ら(2006年)は、家計を通じたキャッシュフローを分析し、雇用のもたらす[間接的な]利益を含めれば、その貢献度はより一層大きくなると論じている。地域経済における観光産業の直接的・間接的効果を算出することができる社会会計モデルを用い、彼らは観光産業の地域コミュニティに対する年間貢献額が、62.9百万ドル(75.5億円)に達すると見積もっている。
Epler(2007年)はガラパゴスの観光産業総収入を418.8百万ドル(502.6億円)と見積もっている。その内訳は、ガラパゴスの観光船舶が120.5百万ドル(144.6億円)、国際航空が108百万ドル(129.6億円)、エクアドル本土内での消費が105.8百万ドル(127.0億円)、ガラパゴスとエクアドル本土間の航空が37.7百万ドル(45.2億円)、エクアドル以外の代理店が24.6百万ドル(29.5億円)、ガラパゴス内のホテル、レストラン及びサービス業が22.8百万ドル(27.4億円)となっている(図5参照)。Taylor の計算法をEplerのデータに適用すると、観光産業総収入のおよそ15.5%が地元住民の手に渡ることになる。しかしながら、これらのデータはガラパゴスにおけるすべての旅行業者から正確な財務情報を得ることが難しいことを考慮すると精査の必要がある。
ガラパゴスにおける中央政府、地方自治体、及び独立政府機関の運営に必要な年間経費は、2006年で36.5百万ドル(43.8億円)と見積もられた(Diaz Guevara, 2006年)。この合計には諸島の警察や軍事基地[に係る費用]を含まない。経済的観点から、最も重要な組織はガラパゴス国立公園管理局(合計額の推定31%)、県の教育局(15%)、サンタ・クルス当局(14%)である。また、この合計額のおよそ60%が中央政府、40%がガラパゴスの観光収入に依っている(Diaz Guevara, 2006年)。
ガラパゴスで活動するNGO(CDF、WWF、コンサーベーションインターナショナル、WildAid及びFundacion Galapagos)の2006年度予算は5.8百万ドル(7.0億円)と見積もられた(Epler, 2006年)。
1998年から2005年にかけて、2国官及び多国間援助により、総額54.5百万ドル(65.4億円)(年平均6.8百万ドル(8.2億円))が供与されたと見積もられた。うち年平均5.5百万ドル(6.6億円)が公的機関により、1.3百万ドル(1.6億円)がガラパゴスにおけるNGOによって使われたと見積もられる。2006年と2007年に、USAID(米国国際開発庁)によるガラパゴス海洋保護区の支援、国連開発計画(UNDP)のGlobal Environmental Facility(GEF:地球環境ファシリティー)外来種プロジェクトなど、いくつかの主要プロジェクトが完了するため、ガラパゴスに対する二国間及び多国間援助が減少することになりそうだ。
図5: ガラパゴス関連の観光支出の分配 (Epler 2007年, Taylor ら 2006年に基づく)
残念なことに、経済情報は得にくい。その結果、ガラパゴスへの資金の流れに関する正確な見積もりは不可能であり、それ故、島民一人当たりの総生産額を推定することは難しい。Taylorら(2006年)は、観光産業はガラパゴス経済に年間63百万ドル(75.6億円)をもたらすと見積もっている。その内訳は、エクアドル政府の歳出がおよそ22百万ドル(26億円)、二国間及び多国間援助(注2)が6.8百万ドル(8.2億円)(NGOからの1.3百万ドル(1.6億円)を含む)である。NGOは自らの事業収益、基金及び個人から約4.5百万ドル(5.4億円)をもたらし、漁業は3百万ドル(3.6億円)以下である(図6参照)(注3)。
図6: ガラパゴスへの資金フローの推算 (Taylor 2006年及びEpler 2007年に基づく)
観光産業がガラパゴス経済の原動力となっていることは明らかである。また、公的機関も重要である。NGOと漁業の貢献度はそれぞれ3位と4位になっている。
注2)2007年では、 Araucariaがガラパゴス国立公園管理局(GNPS)を、イタリア政府はINGALA内のPROINGALAを、USAIDは自治体及びGNPSを、JICAはGNPSを、UNDP-GEFはINGALA、GNPS、SICGAL及びCDFを、KFW及びUNDPは再生可能エネルギー計画においてエネルギー・鉱業省を支援している。
注3)ここに示したデータは実際の支出額ではなく予算を示しており、実際の経済を理解するためには、ガラパゴス経済の収支についてより深い分析の必要性を認識することが重要である。
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