理事長・役員のご挨拶

理事長・役員のご挨拶

理事長挨拶

清水 善和

駒沢大学総合教育研究部教授

私は、植物生態学や植生地理学の分野を専門とし、大学院に進学した1976年以来、もっぱら小笠原諸島に通って、孤島(海洋島)の植物の生態、進化のフィールドワークを続けてきました。小笠原は“東洋のガラパゴス”とも称せられるように、規模は小さいながらもガラパゴス諸島とも共通した、生物学的に興味深い様々な現象が見られる特異な場所です。

小笠原の研究を続ける中で、一度は“本家ガラパゴス”に行ってみたいと思っていたところ、1994年にイサベラ島の山火事に際して日本政府が派遣した緊急調査団に加えていただく機会があり、初めてガラパゴスの土を踏むことができました。

さらに1995年には、自分の研究で約2か月半にわたり、許可を得てテント生活をしながら島々をめぐって3種類のスカレシア林の調査を行い、ガラパゴスの自然を体感しました。その後、本会の立ち上げとともに評議員、理事として活動に加わることになり、今回、縁あって理事長に就任することになった次第です。

さて、昨今は「ガラパゴス化」という言葉が広まり、「内に閉じこもって外に通用しない独自の発展をする」という否定的な意味合いで使われています。

ダーウィンの進化論発想の島として、また、世界自然遺産第一号、先進的なエコツアー発祥の地として、世界がその価値を認め、世界中から観光客が集まるガラパゴスを、このような否定的な例えとして引き合いに出すのは誤った用法であると言えます。

世界的な視野にたって、ガラパゴスの本当のすばらしさ、貴重さを多くの人に知ってもらうことが、こうした誤った用法を正すことにもつながると思います。小笠原も2011年に世界自然遺産の仲間入りを果たしましたが、ガラパゴスと小笠原には外来種駆除やエコツアーのあり方など共通した課題も多く、互いに学ぶべきことがたくさんあります。本会が日本とガラパゴスをつなぐ架け橋となることを願っています。

 

 

〔略歴〕1953年生まれ。京都大学大学院理学研究科植物学専攻博士後期課程修了。理学博士。専門は植物生態学、島嶼地理学。1976年より小笠原諸島に通い続け、大洋島の植物の進化・生態とその保護について調査・研究を続ける。1994年と1995年にガラパゴスで、1995年から1996年にハワイで野外調査を実施。主な著書に『ハワイの自然─3000万年の楽園』(古今書院)、『小笠原自然年代記』(岩波書店)、『小笠原諸島に学ぶ進化論』(技術評論社)がある。

 

役員挨拶

日本ガラパゴスの会JAGA会長
伊藤秀三
長崎大学名誉教授、
チャールズ・ダーウィン財団評議員

-世界第一級の自然遺産-

ガラパゴス諸島は,1978年,世界自然遺産第一号に指定されました。2001年には周辺の海も追加指定されました。
19世紀,その特異な自然と生物はイギリスの青年チャールズ・ダーウィンに生物進化論の着想を与えました。それはいま,そのときと同じ状態を保つべく保護保全されています。そしてそれは,一般探訪者には自然へ回帰する感動と興奮を与え,教育研究者には調査研究によって新事実,新知識を汲み出す源泉となっています。

間違いなくガラパゴスは世界第一級の自然遺産であり,いまも新知識が汲み出されるという意味において,文化的な聖地でもあります。世界7カ国にガラパゴス保全を支援する組織「ガラパゴス友の会」が作られている理由も,ここにあります。

「日本ガラパゴスの会」は,ガラパゴスを愛し,新旧の情報を交換し,会員相互の交流をすすめ、欧米の友の会に並ぶべく,多くの人の賛同により設立されました。ここにご挨拶を申し上げ,皆さんに参加を呼びかけます。

 

 

 

日本ガラパゴスの会JAGA元理事長
小野幹雄
東京都立大学名誉教授、
日本自然保護協会評議員

-保護にたゆまぬ努力-
ガラパゴス諸島の特異な生物たちと、それをはぐくんだこの地の自然が1835年にこの諸島を訪れたダーウィンの生物進化論に大きな影響を与えたことは有名です。
それ以来、この島々は進化論のいわばメッカのようにいわれ、多くの研究者や一般の来島者に深い知識と感銘を与えてきました。その一方で、来島者や定住者の増加がこの島の自然環境に大きな負荷を与えてきたのも事実です。この諸島の貴重な自然環境を少しでも健全に保護しようと、エクアドル政府やダーウィン研究所などがたゆまぬ努力をつづけており、またユネスコの世界遺産の第1号に指定されたことは、伊藤本会会長のご挨拶にあるとおりです。
日本人観光客も年に1500人を超えるといわれる今日、私たちもこの諸島の環境保全に協力し、この島を愛する人たちと多くの情報を共有したいと「日本ガラパゴスの会」が発足しました。ダーウィン財団からも期待されております。少しでも多くの方々にご参加を呼びかけたいと存じます。

 

 

 

チャールズ・ダーウィン研究所元所長
Dr. Graham Watkins

-JAGA設立に際して日本の皆さんへのメッセージ-

日本の皆さんにご挨拶申し上げます。
日本ガラパゴスの会の設立を聞き、大変嬉しく思います。この新しい会がきっと大きな成長を遂げ、日本の人たちのガラパゴスの保全支援に対する意識を高める、重要な役割を果たしてくれるものと信じています。

今日ガラパゴスでは、3つの重要な挑戦が行われています。以前からの懸念事項である外来動植物種の問題は、引き続き我々の重点を置く課題です。同時に、地元の漁業活動の持続可能な管理方法を発展させること、そして増え続ける諸島の人口に対処することの必要性にますます迫られています。

皆に適切且つ受け入れられるような解決方法を導き出すためには、地元のコミュニティとの緊密な関係のもと活動することが必要不可欠です。このような活動なくしては、保全と持続可能な開発の両方を確実なものにすることはできません。

我々は重要な時期に直面しています。世界が抱えようとしている問題を、世界中の島嶼地域はすでに大きな衝撃として感じています。島嶼地域は特に、人口増加の圧力や需要、抑えの効かない持続不可能な経済発展の影響により、破壊されやすいのです。

ガラパゴスは、世界中で起きている変化の縮図です。もしガラパゴスで保全活動と持続可能な開発の両立ができれば、世界中の多くの地域の努力に貢献できる、ということを皆さんに是非知って頂きたいと思います。

これらの挑戦を進めるためには、国際社会の強い支援が不可欠です。この非常に希少な諸島の保全と持続可能な開発へ向け、JAGAを通じた日本からの熱烈なバックアップを期待しています。

JAGAの設立を歓迎します。ガラパゴスの保全を支える仲間の輪へようこそ。

 

2005年〜2009年の4年間、チャールズ・ダーウィン財団理事長(チャールズ・ダーウィン研究所所長)として、現地サンタクルス島のダーウィン研究所で指揮を執る。1980年代、ガラパゴスでナチュラリストガイドとして活動していた経験もあり、また生態学・進化学を専門とする生物学者でもある。

 

 

 

日本ガラパゴスの会JAGA前理事長
樋口広芳
東京大学名誉教授、
慶應義塾大学特任教授

日本や世界の各地には、すばらしい自然と生きものの世界があります。私は鳥類、とりわけ渡り鳥を研究していることから、そうした各地の自然や生きものの世界をたくさん見てきました。そうした中でも、ガラパゴスの自然と生きものの世界は、とびぬけて興味深く、印象に残るものです。諸島の名前の由来となった大きなゾウガメ、陸と海の生活に分化したイグアナ類、諸島内で多数の種に適応放散したダーウィンフィンチ類、無飛力のコバネウ、熱帯のペンギンなどなど、この島々ではこうした興味深い生きものをごく身近で、じっくりと見ることができます。しかも、ゾウガメやイグアナなどの一つの種の色や形状が島ごとに違っている様子も、簡単に目にすることができるのです。進化について学ぶ場として、これほど恵まれたところは、世界広しといえどもないでしょう。
日本ガラパゴスの会は、そうしたガラパゴスの自然や生きものの世界を楽しみ、理解を深め、保全することに貢献する会です。ガラパゴスに関心をもつ多くの人とともに、会の活動を盛りあげ、このすばらしい自然と生きものの世界が存続していかれるよう、努力していきたいと思っています。

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