日本ガラパゴスの会は、ガラパゴス諸島本来の自然環境を 回復・維持するための活動を支援する団体です。
ガラパゴスに停泊する16隻の観光船が、ダーウィン研究所(CDF)の調査に協力しました。この調査は、船の夜間照明が諸島における昆虫の移動にどのような影響を与えているかを調べたもので、これによりラザロ・ロケ博士らCDFの昆虫学者達は、外来種の侵入と諸島内での拡散を防止する策を見つけました。 ガラパゴスを訪れる観光客は、この上ない自然体験をすることができます。しかし環境に影響を与えない観光はありません。毎日ガラパゴスに着く船や飛行機には、ガラパゴスの生態系を脅かす外来昆虫や他の無脊椎動物が一緒にやってきます。一旦侵入した外来生物は、人の移動や自らの力により一気に拡散を始めます。 調査では、船内部および外部の沢山の照明が、特に蛾などの夜行性の昆虫を引きつけ、そのまま船と共に移動して他の島に移っていることが分かりました。調査期間中、採集した昆虫は全部で171種にのぼりました。これらのうち1/4はガラパゴスへの移入種で、その半分以上がガラパゴス、特にフェルナンディナ島のような手つかずの島の生物多様性に脅威となると考えられています。 「船による昆虫の移動の機会は、昆虫の活動が活発になる雨期の方がむしろ多くなります」ロケ博士はこうコメントしています。彼の調査チームは、乾期の1ターム(3時間)では、18個の外灯を付けた一隻の船に、平均で150匹の昆虫が寄ってきた一方で、雨期では、同じ条件で約3倍の数(466匹)が集まったと報告しています。 これらの結果をもとに、調査チームは、船の照明の色を昆虫の好まない色にしたり、船の出発時間の4時間前には電気を落としたりすることなどを、地元の船舶関係者に提言しました。「我々は、移入種の不自然な拡散を減らすために、ガラパゴスの観光業界が採用できる経済的な方法を提案しました。」とロケ博士は語っています。CDFでは、原始的な島々(フェルナンディナなど)へ向かう船は、直前に移入種の多い場所(サンタクルスやサンクリストバルの居住区)へ立ち寄らないようにするなど、ツアーの日程の見直しも必要だとしています。 観光船に伴ってガラパゴスの外部から入ってくる昆虫は、さらに厄介です。これらの船のとる経路は、ガラパゴスと他の国を結ぶ危険な経路、すなわち、外来種の新たな侵入ルートを作ってしまいます。これまでエクアドル本土からやってくる定期貨物船や商用船によってもたらされた外来種とは異なる、新たな外来種による危険をはらんでいるのです 2006年には、CDFの昆虫学者達は、諸島を訪れる外国からの大型客船に関連するリスクを調べるための調査も行いました。ガラパゴスへ向かう大型クルーズ船ディスカバリーでの4時間のサンプリングで彼らは、船の灯に引き付けられて集まった6種43匹の蛾を発見しました。このうち4種はガラパゴスでは見られないもので、すべての種が、ガラパゴスの固有種に深刻な危険をもたらす可能性を持っているものでした。国外からの客船が、外来種の運び屋となっていることが強く示唆されました。 観光業界にとっては、率先して外来種の侵入・拡散を防ぐことが、自分たちのビジネスにとっても利益となるでしょう。観光は、エクアドルやガラパゴスにとって、最も重要な収入源の一つなのです。壊れやすい生態系に広がってしまった外来種を駆除するのは、外来種の侵入や移動を早期に防ぐことよりも、莫大な経済的、生態的負担がかかります。解決策を共に見出すことで、ガラパゴスが、類いまれな動植物と人間社会が共生する、世界の中でも最も保全された海洋群島として残ることとなるでしょう。 (日本語訳:奥野玉紀)