ジョージの親戚発見
〜絶滅回避に新たな希望〜
現在11種(亜種)いるとされるガラパゴスゾウガメのうち、ピンタ島亜種の最後の生き残りとされてきたオスガメ「ロンサム・ジョージ」に親戚が見つかりました。ガラパゴスゾウガメの研究を続けてきた米・エール大学などの国際研究チームが、5月1日付けの科学誌Current Biologyに発表しました。
かつて数千匹のゾウガメが生息していたとされるピンタ島では、18〜19世紀に海賊船や捕鯨船の船員がゾウガメを食料として捕獲・殺戮し、ゾウガメの数は激減しました。ピンタ島は諸島の中でも比較的小さく平坦な地形をしていることからゾウガメを見つけやすかったことが災いしました。特にメスガメは、体が小さく運びやすく、また、産卵のために山から海岸付近に下りてきていたことから、捕獲されやすかったとされています。
それに追い打ちをかけるように、20世紀半ばには人間が島に持ち込んだヤギが繁殖して、ゾウガメの餌となる植物を食い尽くしたことから、ゾウガメの姿はほとんど見られなくなり、絶滅したと思われていました。
1972年に一匹のオスガメが突然発見され、絶滅回避の僅かな希望をもって島内の他の個体が探されましたが結局見つからず、以降、そのカメはピンタ島最後の生き残りとして「ロンサム(ひとりぼっちの)ジョージ」と名付けられ、サンタクルス島にあるダーウィン研究所で飼育されています。
今回研究チームは、ピンタ島から近いイサベラ島ウォルフ火山のゾウガメ27匹のDNAを調べ、そのうちの一匹がピンタ島のオスガメとイサベラ島のメスガメを親に持つことを発見しました。ジョージのDNAの他に、世界の博物館にあるピンタ島ゾウガメの標本のDNAも実験に使われました。
残念ながら発見されたカメはオスでしたが、ダーウィン研究所によると、今回発見された場所には約1500匹のゾウガメが生息するということで、この発見によりジョージのお相手ーピンタ島亜種の遺伝子を持つメスガメが存在するかもしれない、という新たな希望が生まれました。
発見されたイサベラ島には5つの火山に5亜種のゾウガメが生息していますが、ピンタ島とは海を挟んで100km程も離れている上、ゾウガメが運ばれるような海流もなく、なぜピンタ島亜種の遺伝子を持つゾウガメがいたのかは分かっていません。
過去野生化ヤギの壊滅的な被害を受けて荒廃しきっていたピンタ島では、国立公園管理局やダーウィン研究所の地道な活動により、2003年にヤギの駆除が完了しました。現在は植生が大きく戻り始めたため、ダーウィン研究所では、生態系のバランスを保つために、ピンタ島亜種に最も近縁のゾウガメの導入を計画していました。
今回の発見により、ピンタ島生態系再生プロジェクトにどのような影響が出るのか(あるいは出ないのか)注目されます。
━参考━
- Current Biology: Volume17, Issue 9, May 1 2007, Page R317-R318
- 「ひとりぼっちのジョージ」(ヘンリー・ニコルズ著 佐藤桂訳)早川書房
- 「New hope for Galapagos' 'Lonesome George'」
30 April 2007,NewScientist.com news service
- ダーウィン研究所
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