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更新日:2007年6月21日 2007年6月14日:Galapagos ダーウィン財団プレスリリース
原文記事(英語)

ガラパゴス海洋保護区近海での

鉄散布実験に警戒する

 ガラパゴス海洋保護区(GMR)周辺に侵入者---リスクを伴う実験が、世界で最も貴重な自然遺産の目前で行われようとしている。アメリカ・サンフランシスコの営利企業プランクトス社(Planktos Inc.)は、鉄散布計画の実験場として、ガラパゴス近海の国際水域を選んだ。

 チャールズ・ダーウィン財団(=CDF:ダーウィン研究所の運営母体)は、この実験が、ガラパゴスの海洋生態系に及ぼすかもしれない未知の影響に警戒している。プランクトス社は、この実験による影響を評価する環境アセスメント(Environmental Impact Assessment =EIA)も行っておらず、CDFは、不必要でリスクの高い実験に対して、声を高く警告するものである。

 6月1日付けの米国国際海事機関(the US International Maritime Organization)の公式文によると米国籍企業、プランクトス社はこの実験をガラパゴス近海の国際水域において2007年の6月末に行うべく計画を進めている。更にこの公式文によれば同社は、海洋への投棄を規制した米国の法律(the United States Ocean Dumping Act)に抵触しないよう、米国船籍ウェザーバード二世号を利用せず、使用する船舶は米国の何れの港からも出航をしない、という。

 プランクトス社の一連の実験は、ガラパゴス周辺の海上に鉄の小片を撒くことで植物プランクトンの増殖を促進させようというもの。植物性プランクトンは、太陽エネルギーと二酸化炭素を吸収して有機物を合成するため、プランクトス社はこれによって地球温暖化防止に有効な手段であると想定している。国際的な科学者のコミュニティーとチャールズ・ダーウィン研究所の最も憂慮することは、この実験が予期出来ない環境破壊をもたらすかも知れないということである。

 5月3日付けイギリスのザ・インディペンデント紙によれば、この「鉄理論」はカリフォルニアのモス・ランディング海洋研究所の海洋学者ジョン・マーティンによって提唱されたが、生前に彼自身で実験することは叶わなかった。

 CDFの海洋学者ストゥアート・バンクスは独特な海流システムにより諸島の海洋保護区に鉄粉が流れ込むと心配している。バンクスは、最初に表層海流が大部分の鉄を西へと掻き集める。一部は早い時期に表層のプランクトンにより代謝され東へ流されるだろうが、一部は鉄粉のまま沈み、赤道潜流(クロムウェル海流)もしくは表層の北赤道海流を経由して方向を戻し、ガラパゴス海洋保護区に深く入り込んで来るだろう、と話している。

 実験による予測出来ない影響で考えられるのは、通常の微生物の作用に影響を及ぼしたり、広い範囲に生息する魚類やその他海洋生物に毒作用をもたらしたりしかねないということ。鉄粉をまく場所に既に存在する動物/植物プランクトンにダメージを与える可能性もある。また鉄粉によって海水中の自然の酸素量のバランスが崩れ、海洋生物に致命的な影響を与えかねない。

 「今回の鉄の散布は、一時的に植物プランクトンの発生量を増やすかもしれないが、彼らの、海底での二酸化炭素隔離を(長期的に)促すという目的には効果がないだろう。海岸沿いで見られるような自然の作用による微量の鉄の放出でのみ、継続的で高い生産性を望むことができる」とバンクス。

 CDFの研究者たちは、この沖合での実験により海洋の硝酸塩や燐酸塩の減少を招きかねず、自然の湧昇作用による代謝が行われている(そしてそれに依存する生物群集がいる)場所での、海洋生態系のバランスにも害を及ぼすことを恐れている。

 一体、地球上で最も素晴らしく、最も良い状態で守られている自然の宝をあえて危険に晒す価値がどこにあるのだろうか?CDFは、事前の環境への影響調査(アセスメント)が行われないまま、この実験をガラパゴス近海で行うことは、失うものこそあれ、得るものは無であると信じている。

 地球規模での温暖化問題は、各国家・個人や企業が二酸化炭素放出の減少に努力し解決すべきことであり、海洋にその問題の解決を求めるものではない。

〔訳:池戸嗣式(リマ)、奥野玉紀(JAGA)〕

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